日本精工硝子株式会社(ガラスびんやガラス容器の企画製造販売)

ガラスびんについてglass bottle

ガラスの3種類

ガラスの種類は多種多様で、光学ガラスから建築用板硝子、容器類など何千にもおよびます。テレビの液晶パネルやブラウン管、光ファイバーケーブル、窓ガラスもガラスなのです。当社で生産しているのは「ソーダ石灰ガラス」ですが、それ以外の「クリスタルガラス」、「ほうけい酸ガラス」の3種類だけでガラス類の95%くらいになり残りの5%くらいは特殊ガラスで、種類はたくさんありますが、作られている量はそれぞれごく僅かです。一部の例外をのぞいて、ほとんどのガラスは二酸化けい素(SiO2)を主成分とする「けい酸塩ガラス(けいさんえんガラス)」です。

ガラスの3種類

  • ソーダ石灰ガラス(一般容器ガラス:当社製造ガラスびん)

    ソーダ石灰ガラス
    (一般容器ガラス:当社製造ガラスびん)

    窓ガラス、びん、多くの食器類などに使われる、もっとも普通のガラスで、最初に作られた古代のガラスもソーダ石灰ガラスと考えられています。二酸化けい素、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カルシウム(CaO)が主成分です。酸化ナトリウムの代わりに酸化カリウム(K2O)が使われることもあり、両方が使われることもあります。ソーダというのは、原料として使われる炭酸ナトリウムのことを指す言葉です。

  • クリスタルガラス(鉛ガラス)

    クリスタルガラス
    (鉛ガラス)

    ワイングラスなどの高級食器や装飾品などに使われているガラスで、二酸化けい素、酸化鉛(PbO)が主成分です。最近では酸化鉛の代わりに木炭から抽出した酸化カリウムを入れます。ソーダ石灰ガラスに比べて、屈折率が大きく、カット模様をつけるとキラキラと良く輝きます。

  • 耐熱ガラス(ほうけい酸ガラス)

    耐熱ガラス
    (ほうけい酸ガラス)

    ほかの二つのガラスに比べて、二酸化けい素の割合が大きく、ほかにほう酸(B2O3)、酸化ナトリウムあるいは酸化カリウム、酸化アルミニウム(AI2O3)などを含んでいます。
    ほうけい酸ガラスは、化学的な侵蝕や熱衝撃(急な温度の変化)に強く、化学工場の製造プラント、実験用ガラス器具、薬のアンプルや薬びん、大型の照明器具などに使われています。一般家庭でも耐熱用品として使われることがあります。

ガラスの色

ガラスの色は、ガラス原料に、主として金属酸化物(硫化物や塩化物の場合もあります)を加えることで得られます。同じ着色剤を使っても、ガラスの成分が変わると色が変わることがあり、また、ガラスを溶融する条件によっても色が変わることがあります。よく使われる着色剤と色との関係を次の表に掲げておきます。これは主としてソーダ石灰ガラスの場合です。

ステンドグラス

着色剤

コバルト、銅
クロム、鉄、銅(緑系統の色はクロムが一般的)
鉄+硫黄(還元剤として炭素を一緒に使う)
濃い色を出すいろいろな着色剤を混ぜ合わせる(Mn,Cr,Ni,Co,Fe,Cuなど)
乳白 ふっ化カルシウム、ふっ化ソーダ、りん酸カルシウム

(注)

  • 1:ガラスの着色は金属イオンによる場合、非金属イオンによる場合、金属コロイドによる場合の3種類があり、金属イオンによる場合がもっとも一般的である。
  • 2:ガラス中に金属コロイドが分散することによって着色する場合、溶融したガラスは無色で、再加熱することにより発色させることがある。金や銅による赤系統の発色はこれに該当する。
  • 3:乳白色の着色は、ガラス中に細かい結晶が分散するために乱反射を起こして生ずるので、他の金属などによる着色とは機構が異なる。

ガラスの定義

ガラスを定義することはなかなか難しく、従来からいくつかの定義が発表されています。
代表的で分かりやすいものとしては次のものがあります。

定義1溶融物を結晶化することなく冷却して得られる無機質物質

この定義は製造プロセスから来たものですが、現在では溶融法によらないガラスも作られており、その意味からはこの定義は不充分といえます(もっとも、ごく一般的なガラスに限っていえば、この定義で充分に通用します)

最近では他の材質にもガラスと同じような性質を示すものがあることが段々と分かってきました。国際会議などでも金属や高分子の一部を「非晶質固体」としてガラスと同じように考えることも多くなりました。

そこで、ガラスという物質そのものを定義しようとすることになります。この動きは以前からあり、いくつかの定義が考えられてきました。有名なものは「(構造論的にみて)ガラスは過冷却状態にある液体である」というものですが、ガラスを液体と考えるのはいささか無理な面があるようで、最近では「過冷却状態を経由してガラス状態になったもの」という考え方、つまり、従来の固体の中に結晶体とは別にガラス状態を考えようとする動きにあるといえるようです。この考え方にもとづく定義の一つが次のようなものでこれはかなり一般化しつつあると思われます。

定義2ガラス転移現象を示す非晶質固体

ガラス転移現象とは、過冷却状態からガラス状態に移るときに性質が大きく変わる(例えば熱膨脹係数が急に小さくなる)現象をいい、ガラス転移現象を示す温度をガラス転移温度(あるいはガラス転移点)と呼びます。また、普通の固体(結晶質)では、内部の原子配列がきわめて規則的で整然としているのに対して、規則性のない原子配列(不規則網目構造)を示す物質のことを非晶質(あるいは「アモルファス」)と呼ぴます。

いささか難しい話になりましたが、ガラスの定義としては、ごく簡単には「定義1」を、厳密には「定義2」を考えていただければ良いと思います。
より深く知りたい方のために参考文献をあげておきます。
(1)作花済夫:ガラス科学の基礎と応用(1997年6月 内田老鶴圃)
(2)米沢冨美子:アモルファスな話(1988年10月 岩波書店)

ガラスの安全性

哺乳瓶

ガラスびんから環境ホルモンを生成・溶出することがありません。
主原料である珪砂、ソーダ灰、石灰石、カレットを約1,500度の高温で融合するためダイオキシン生成の主原因となる炭素分、塩素分は組成中に含まれていないことを確認しております。
市販されているガラスびんを用いて、4%酢酸を入れた水を充填し40度で10日間放置した内容物を検査したところ、鉛・カドミウム・クロム・ヒ素などの有害物質は検出されませんでした。
ガラスびんの保存性は他の容器よりも優れております。植物油をガラスびんとPETボトルに充填して30日間調査したところ、内容物の老化及び色素の退色でガラスびんの優位性が認められました。
ガラスびんは空気を通さないので、食品を保存する容器として大変優れています。環境ホルモンなどの有害な成分をまったく含んでいないため、ガラス製の哺乳びん(耐熱ガラス)の人気が高まっております。